詩的な独自性で語る作家論
論じられた作家が22人、二葉亭四迷から吉田健一まで、近・現代の作家が取り扱われているが、いずれも詩的な切り込みがしんせんである。編中、異色なのは最後に据えられてる吉田健一論で、その文体の特異性はもとより、およそ小説らしからぬ小説のスタイルを解読して重厚性を示している。就中(なかんずく)「ヨーロッパの世紀末」「ヨーロッパの人間」はもちろんのこと、「瓦礫の中」「絵空ごと」など、他の作家には書けないこれらの諸作品についての論述は断然群を抜いている。
また、安岡章太郎を論じた「共振する大家族群」は「流離譚」や「鏡川」との関連について、