『千利休から古田織部へ』  


朝日新聞 本棚
       平成18年(2006年)10月11日

 千利休に比べ、岐阜出身である古田織部の研究書ははるかに少ない。それは、織部が家康により切腹に追い込まれたため、江戸時代に人々から遠ざけられていたことが一因だが、最近は手に取りやすい研究書が出そろってきた。その大きな一角をなすのが、織部焼きのあった岐阜で長年研究を続けてきた著者である。

 黒い楽茶わんをプロデュースした利休の弟子である織部が、かくも多弁な織部焼をどうして生み出したのか。膨大かつ正確な知識による推測で迫っていく様は圧巻。織部焼と茶への愛情もひしひしと伝わってくる。