『千利休から古田織部へ』  


中日新聞 ●書く・読む・思う
       平成18年(2006年)10月3日

 —中部の文芸—

「千利休より古田織部へ」芸術家による芸術家論

  小説・評論 清水 信

芸術家による芸術家論は、二重の楽しみがある。作者の芸術観がうかがえる上に、拮抗し対立し、また協調し拡大する芸術家像が、未来性を感じさせるからである。

 九野治の『千利休より古田織部へ』(鳥影社刊)は、まさにそういう好著であって、茶の巨人である二人の芸術家と現代の芸術家・九野が三つどもえになっている華麗な様相を示している。辻が花染にモダンアートとルビをふり、織部焼きにアブストラクトとルビをふる作者の中に、二人の巨人のコントラストを超えた文化的視野が見える。織部研究家としての長い蘊蓄が実っているのだ。(以下略)